NPO法人Sognatore
理事長 宮田創一
事業概要
主 催:NPO法人Sognatore
※京都市教育委員会「堀川御池ギャラリー棟内 元アクアスペース トライアル・サウンディング事業」による実施事業
後 援:京都市教育委員会
協 賛:株式会社よい根、STUDIO FUNNNY
協 力:有限会社寺平美術平板、無窮
補助金:京都府地域交響プロジェクト交付金、中京区民まちづくり支援事業
日 時:令和6年12月6日(金)〜12月8日(日) 12時〜20時
会 場:堀川御池ギャラリー棟内元アクアスペース(1,2F)
内 容:ギャラリーやライブといったアート鑑賞に加え、地域の来場者やアーティストがアートを通じて交流し、アーティストの活躍の場を拡げる仕組みやアートで地域課題を解決する企画等を一緒に考えるなど、多様なプログラムをコーヒーとともに楽しんでもらうイベントを実施。本事業を通じて、若者(学生や子育て世代)の市外転出に伴う、地域コミュニティの減少、地域力の低下という地域課題をアートを活用することで解決を目指した。
各プログラムについては以下の通り
●SGN Talks
「アーティスト」や「アートに興味のある人や企業」が集まり、それぞれの困りごとや挑戦してみたいアイデアなどの話題を通じて繋がるコミュニティイベント。
当日は京都市職員にご登壇いただき、以下のテーマについて、ファシリテーショングラフィッカーが参加者の意見などをリアルタイムに可視化させながら交流を行った。
※SGN Talksのレポートについては別紙参照
7日:「アーティスト目線で考える2050年の京都市」
京都市 総合企画局 経営戦略室 葉山課長

8日:「アート×公共施設で創る未来」
京都市 教育委員会 教育環境整備室 菅野課長

●作品展示及びTalk About(1階)
10組のアーティストが展示。アーティストの作品に対する想いや投げかけをもとに、来場者が作品の魅力や背景を知ることで、来場者と作品・アーティストとの交流を生みだした。また、会場出口には来場者の感想を展示し、共感で繋がる「ゆるいつながり」も生みだした。


●アート鑑賞会(1階)
鑑賞者が5〜8人のグループとなり、「作品を正しく理解しなければならない」「アート鑑賞には知識が必要」という思いに捉われず「鑑賞者自身がどう感じたか」「他者との共有を通じた感覚の違い」を楽しむことで、鑑賞者同士の交流を促した。

●アーティストインタビュー(公開収録)(1階)
アーティストに作品への想いや製作背景を聞き取り、アーカイブとして記録することで、その場にいなかった人でも気になったアーティストを深く知ることができるプログラム。

●弾き語りライブ及び歌詞の展示(2階)
12組のアーティストが出演。弾き語りアーティストの歌詞を壁に展示することで、ライブだけでなく、視覚的にも音楽を楽しめる空間を演出。作品の魅力を多様な方法で届けることで、来場者がこれまで出会えなかった作品を見つけることができるようにした。


●カフェの運営(1階)
コーヒーや焼き菓子を提供することで、地域住民とっての来場のハードルを下げ、会場内での交流の活性化を行った。カフェの運営は、地域活動の実績が豊富な、京都の大学生が主体となって運営する、店舗を持たない珈琲と焼き菓子の地域活動団体「iroirokyoto」に依頼を行った。その他、京都市で営業されている焼き菓子のお店「日日是甘日」にもご出店いただいた。


事業実績及び効果
来場者数:140人(3日間)
若者(学生や子育て世代)の市外転出に伴う、地域コミュニティの減少、地域力の低下という地域課題に対して、地域の他団体との連携や多様なプログラムを組み合わせた「アートで繋がるコミュニティイベント」を通じた、これまで関わりのなかった多くのアーティストを含む若者の交流を生み出した。
具体的には、若者とアーティストが直接交流するワークショップ(2回開催、40名程度参加)にて「未来の京都を考える機会」を創出し、地域に対する帰属意識の醸成を行ったことで、参加者同士が連絡先を交換し、協働して新しいことに挑戦する話が出るなど、その場限りの交流にとどまらない繋がりが生まれた。
また、当法人が実施した来場者向けのアンケートでは「コーヒーを片手にくつろいで作品を見ることができ、来場者やアーティストと交流することができた。」という意見が多数あり、アーティスト向けのアンケートでは「Art Break Kyoto に出展/出演して、来場者/他のアーティストと交流できましたか」という質問に対して「交流できた」という回答が8割以上となった。
上記のことから、本事業の企画趣旨である「アーティストの才能を広く伝えるともに、人や地域とのつながりを深める場」として、アーティストを含む若者の居場所づくりや地域活性化に一定寄与することができた。

課題・今後の方向性
●コミュニティ
アーティストを含む若者の居場所づくりや地域活性化を進めていくには、本事業を通じて繋がった若者が継続的に関わりながら、地域に住む人や課題と接点を持つことが重要である。また、彼らが気軽に集まり、自身の挑戦したいことやアイデアを語り合えるような創造性を刺激する居場所が必要であると感じたため、今後は京町家等の改装も視野に入れたリアルな居場所づくりを検討していく。
●広報・集客
広報については地下鉄でのポスター掲示、SNSでの広報を行ったが、アンケート結果によると実際には知人からの紹介や、運営からの直接の連絡をきっかけに来場した方が多かった。地下鉄のポスターについては単純なインプレッション数を上げることはできたが、来場のきっかけにはつながりにくかった。上記のことから、今後は活動を通じて団体の知名度向上(SNSのフォロワー数増加など)に加え、より事業内容や趣旨が伝わるような広報を実施していく。
●収益・資金獲得
アーティストからの出展/出演料、作品販売手数料、入場料、カフェの売上手数料のうち、カフェの売上手数料は目標を上回ったものの、作品販売手数料の収益が想定より下回ったことにより、全体目標の金額には到達できなかった。当法人の支援対象であるアーティストに過度な負担を求めることは本末転倒であるため、より効果的な作品購入の仕組みづくり、企業等の広告宣伝費や賛助会員の獲得などに努めていく。
●アーティストへの還元性
当法人の主目的である「アーティストの活躍の場を拡げる。」については、地域の方の来場者数も確保することで一定達成することができ、アーティストからも普段より多くの方に見てもらえたという意見があった。一方、継続的に応援してくれるファンの獲得や作品の購入にはつながりにくかったため、SNS等を活用したアーティストの魅力を伝える広報を引き続き実施していく。
●アンケート調査
来場者とアーティストの両方にアンケートを実施したが、回答率は高いものではなかった。回答の収集方法にはさらなる工夫が必要であり、例えば来場者に対しては直接調査の導入、アーティスト向けには、売上の精算をアンケートの回答後に実施するなど、回収率向上のための手法を検討する必要がある。
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